朝、目覚ましの音で目を覚ます。昨日出かけていたものの、スッキリと目覚めることができた。
暗い室内、カーテンの向こうから土砂降りの雨の音が聞こえている。
今日は早番でいつもより早く起きたから外はまだ真っ暗だ。他の家族は寝ているからスマホのライトで照らしながら階段を降りて、廊下を進んだ先にあるトイレに入った。
トイレを済ませて個室から出る。ふと顔を上げると薄暗い廊下の先、トイレとは反対側の台所に何かいる。
よく見るとそれは顔だった。
髪の長い女の生首が薄暗い廊下の先からこちらを覗き見ていた。
こんなときとっさに悲鳴は出ないと聞いたことがあるが、どうやらそれは本当だったらしい。生首を見ながらそんなズレたことを考えてた。
妹は普段早番の私より早く家を出て今はいないはずだし、母はまだ寝ている。あれは誰だ?
恐る恐る近づくとやっと白いパジャマが見えた。
生首の正体は髪を梳かしている妹だった。髪の毛が落ちてもいいように大きなゴミ箱の上で首を傾げて髪を梳かしていたのだ。位置的に身体と手は見えない。納得してホッと胸を撫で下ろした。
妹に言うと笑ってた。今日は始業時間が遅いからまだ家にいたのだ。
朝から驚いた出来事。妹よ、心臓に悪いからせめて電気は点けてくれ。